2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 雄司 Osaka Prefecture University, 経済学部, 准教授 (20326284)
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Keywords | 空間的競争モデル / 垂直的差別化モデル / 電子商取引 |
Research Abstract |
今年度は,前年度から取り組んでいた「音楽CDと音楽配信サービスの競合:垂直的差別化モデルを用いた分析」について,さらに研究を進めた。この研究では垂直的差別化モデルを用いて,音楽CDを高品質財,音楽配信サービスを低品質財とみなして複占市場におけるそれらの競合を分析し,以下の結果を得た。複占において両企業が数量競争を行う場合,高品質財生産の限界費用がある条件を満たすほど小さいとき,総余剰は高品質財市場のみの独占の方が大きくなる。逆に,高品質財生産の限界費用が大きい場合には,低品質財の市場への導入が総余剰を増やす。消費者余剰を尺度とすると,低品質財の市場への導入は市場の競争性を高めるので,必ず望ましいが,総余剰を尺度とすると,必ずしも望ましいとは言えない。複占において価格・数量価格混合競争が行われる場合,総余剰は高品質財と低品質財が共存する複占の方が必ず総余剰は大きくなる。最後に,2つの複占の間で比較すると,高品質財生産の限界費用がある条件を満たすほど小さいとき,総余剰は価格・数量価格混合競争複占の場合の方が大きくなる。これらの結果を踏まえて,高品質財市場において複数のCDショップが生産・販売する場合や,低品質財市場において複数の音楽配信サイトが同一の音楽ファイルを配信する場合,さらにモデルに垂直的市場構造を導入し,上流のレコード会社の観点から音楽配信を導入することの是非を考察するといった拡張を開始した。
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Research Products
(1 results)