2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730293
|
Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
金 雲鎬 Yamanashi Gakuin University, 現代ビジネス学部, 准教授 (10410383)
|
Keywords | 卸売 / 卸売戦略 / 卸売革新 / 情報システム / 卸売業態論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、卸売商業者の戦略行動が、なぜ・どのように起こっているかを明らかにしたうえで、戦略行動の同質的パターンに注目することで、卸売業態論研究の理論的端緒を提唱するものであった。 この研究目的が達成されるよう、研究実施計画に沿って研究を行った。まず、卸売商業に関する文献調査を行い、卸売商業者の戦略行動-特に情報システム導入-が起こるメカニズムに関する仮説を導出した。そして、医薬品卸売商業者を対象とするアンケート調査を実施し、仮説検証を行った。その結果、卸売業者が情報システムを導入するメカニズムに関して新しい発見が得られた。 従来の卸売流通研究では,卸売企業が情報システムを導入するのは厳しい取引環境の中で生き残るための戦略として説明する視点が多く,情報システムを導入するメカニズムに関する議論は少ない。特に市場シェアを拡大している大規模卸売企業がなぜ・どのように情報システムを導入するのかに関してはあまり議論されてこなかった。これに対して,本研究では小売企業との企業間関係に注目して,卸売企業が情報システムを導入するメカニズムを分析した。延期-投機理論を分析枠組みとして,リスク転嫁とプロセス革新の局面から捉えたが、分析の結果,卸売企業の情報システム導入は,延期行動であり,小売企業との間での共同革新によって起こることが明らかになった。 また、卸売業態論研究の理論的端緒を提唱する目的から、卸売商業者の戦略行動の同質的パターンに注目して、戦略グループ概念を導入して、その戦略グループ分析が卸売業態論の端緒になりうることを主張した。本研究では、「卸売商業者規模」と「大規模小売企業への依存度」を分類軸に定め、グループ間の戦略行動に対する比較分析を行った。この分析によって卸売商業の業態論を論じる際に、戦略グループによる分析が有用であることが理論的に主張された。 卸売商業者が情報システムを導入するメカニズムに関する新しい発見と、卸売商業の業態論研究に戦略グループによる分析が有用であることの理論的端緒の発見は、卸売商業研究に対する本研究の成果と言える。
|
Research Products
(3 results)