2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730300
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中川 豊隆 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (70403467)
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Keywords | アナウンスメントドリフト / 財務情報の有用性 / キャッシュフロー |
Research Abstract |
財務情報の有用性を考えた場合、公表された財務情報がどのタイミングで証券価格に反映されているのかという点は重要である。なぜなら、仮に財務情報の発表前に反映されているのであれば、財務情報の有用性とは実際に発表された情報の有用性ではなく、実際に発表されるであろう情報を予測するための情報の有用性を実質的に表すことになる一方で、財務情報の発表後に反映されているのであれば実際に発表される情報が投資意思決定における有用性を持つことを表すことになるからである。このような観点から、本研究では今年度、当期純利益情報とキャッシュフロー情報(営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー)を対象として決算発表前ドリフト(pre-announcement drift)と決算発表後ドリフト(post-announcement drift)を検証した。サンプルは東証一部上場企業の2006年3月期と2007年3月期の連結ベースの年次財務情報である。具体的には、財務データを用いて標準化期待外利益(SUE)及び標準化期待外キャッシュフロー(SUCFO、SUCFI、SUCFF)を計算し、それらの値に基づいてサンプル企業を10のポートフォリオに分割し、それらのポートフォリオ間の異常リターン尺度の推移及び第1ポートフォリオと第10ポートフォリオの差額(PMNリターン)を観察した。この分析により、決算発表前ドリフトがいずれの年度のにおいても観察され、決算発表後ドリフトが2007年3月期において観察された。このような分析結果は、財務ディスクロージャーの拡充が進展する中で、開示された財務情報の現実的な利用方法を考察する際の一助となる。
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