2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730307
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
若林 公美 Konan University, 経営学部, 准教授 (20326995)
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Keywords | 包括利益 / 純利益 / コンバージェンス / 投資リスク / 価値関連性 / 利益調整 |
Research Abstract |
本研究では、国際的な会計基準のコンバージェンスを念頭に、包括利益と純利益のいずれの業績指標が投資家にとって有用な情報を提供するかを実証的に検証することを目的とする。投資家の意思決定有用性を評価するにあたって、リスクとリターンの両方の側面から分析を行うことが一般的である。しかし、包括利益と純利益の比較においては、リターンとの関連性に焦点を当てた価値関連性の研究がほとんどであり、投資リスクの評価に焦点を当てた研究は乏しい。そこで、本研究では、リターンのみならず、いずれの利益が投資リスクの評価に役立つのかという観点から分析を行い、包括利益と純利益の比較を行たた。 本年度は、包括利益の算定に必要な為替換算調整勘定、その他有価証券評価差額金などの会計データと、投資リスクとリターンを計測するための株価データを整備し、これらに基づいて、投資リスクの評価と価値関連性の分析を行った。分析の結果は、包括利益よりも純利益のほうが、投資リスクの評価と価値関連性において優れた業績指標であることを示唆するものであった。 また、経営者の利益調整行動に着目すると、純利益が経営者の利益調整に影響を受けるケースにおいて純利益に対する包括利益の透明性が相対的に高まることが期待される。そのような包括利益の透明性が相対的に高いことが期待されるケースにおいて、包括利益のほうが純利益よりも価値関連性が高まるか否かについても調査した。結果は、包括利益の相対的な透明性が高まることが期待されるケースにおいても、純利益のほうが包括利益よりも価値関連性が高いことが実証的に検証された。
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Research Products
(6 results)