2007 Fiscal Year Annual Research Report
会計利益とその構成要素のプライシングに関する実証研究
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19730312
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
成岡 浩一 Kanazawa Gakuin University, 経営情報学部, 准教授 (90308172)
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Keywords | 株式市場の効率性 / アノマリー / 発生項目 / キャッシュ・フロー / 簿価時価比率 |
Research Abstract |
実証会計学の領域では、会計利益やその構成要素に対するプライシングの合理性について様々な研究が行われている。これまでに、発生項目、キャッシュ・フロー、資産増加額等に関するミスプライシングが統計的に有意な水準で存在することが明らかになっている。一方、かかるミスプライシングの源泉については、いくつかの方向から検証が進んでいるが、十分解明されているとはいえない。しかし、近年、海外でバリュー株/グラマー株アノマリー等の関係を指摘する有力な研究が発表された。本研究は、主としてこのラインの研究に依拠しつつ、発生項目やキャッシュ・フローに関連するアノマリーについてさらに詳細な検証を行うこと、これにより会計利益とその構成要素のプライシングについて新たな知見を得ることを目的としている。平成19年度は、日本市場のデータを対象に、バリュー株/グラマー株アノマリー等と発生項目アノマリーとの関係について調査した。具体的にはDesai et al.らの先行研究にもとづき、営業キャッシュ・フロー株価比率(CFO/P)を用いた分析を行った。CFO/P比率に関するアノマリーが存在するかどうか、また、発生項目アノマリーがCFO/Pコントロール後のリターンについて確認できるかどうかが課題であった。ところが、分析結果は先行研究とは必ずしも一致しなかった。例えば、営業キャッシュ・フロー株価比率(CFO/P)アノマリーの存在は確認できたが、簿価時価比率(B/P)アノマリーと比べ規模が小さかった。また、CFO/Pをコントロールした後でも、発生項目アノマリーやB/Pアノマリーは依然として確認することができた。この結果は、バリュー株/グラマー株アノマリーと発生項目アノマリーは、「ファンダメンタル価値対株価」アノマリーを2つの面からとらえたものにすぎず、本質的に同一であるという見方に疑問を呈するものといえる。
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