2008 Fiscal Year Annual Research Report
会計利益とその構成要素のプライシングに関する実証研究
Project/Area Number |
19730312
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
成岡 浩一 Daito Bunka University, 経営学部, 准教授 (90308172)
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Keywords | 株式市場の効率性 / 発生項目アノマリー / 利益の持続性 / 保守主義会計 / 営業キャッシュ・フロー |
Research Abstract |
本研究の目的は、会計利益とその構成要素のプライシングの合理性について複数の側面から検証を行い、新たな知見を得ることにある。いわゆる発生項目アノマリーはどの程度頑健性の高い現象か、これまでに報告されている他のアノマリーとはどのように関係しているのか、さらに、企業の財務的特性の差異や会計・金融制度上の差異がどのように影響しているのか、といった点が具体的な研究課題となる。発生項目アノマリーは、会計利益やその構成要素の持続性が合理的に株価に反映されないとされる現象である。ところで、会計利益やその構成要素の持続性は、企業をとりまく経済的条件の差異だけでなく、企業が採用する会計の保守性に強く影響される。日本において特徴的な制度や会計・市場慣行は、保守性の強さや利益の持続性の大きさに影響を与えている可能性がある。また、会計・金融ビッグバンを契機としてそれらが変化したことも考えられる。しかし、日本企業を対象とした先行研究では、そうした点が必ずしも十分に考慮されていない。そこで、まず会計上の保守主義が利益の持続性やプライシングに与える影響を本年度前半の研究課題として設定した。大規模なサンプルにもとついて分析を行ったところ、営業キャッシュ・フローの持続性や、株式投資収益率と当期のキャッシュ.フローとの関連性について非対称性がみられることなど、海外の研究とは異なる結果が得られた。さらに本年度後半は、企業が実際に採用した会計手続等との関係に踏み込んで検証を行ったが、明確な結論は得るにいたらなかった。今後は、分析手法を見直したうえで再検証を行うとともに、会計ビッグバン期における会計・金融制度や市場慣行の変化との関連に研究を展開していく予定である。
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Research Products
(1 results)