2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730316
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
矢部 孝太郎 Osaka University of Commerce, 総合経営学部, 講師 (20411465)
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Keywords | 複式簿記 / 利益操作 / 企業評価 / 会計行動分析 / 会計選択 |
Research Abstract |
本研究課題は、企業の経営者による会計上の収益認識基準の選択に関して理論的考察を行うことである。 会計上の収益認識基準の選択によって変わるのは、計上される複数の期の収益金額である。しかし、企業の設立時点から解散時点までの全期間という通時的な視点からすれば、どのような収益認識基準によっても計上される収益の合計金額は等しくなる。それは次のよに言える。複式簿記の構造において、会計上の収益の計上は、認識される単としてのキャッシュ・イン・フローの金額と同額の収益を各期に配分する手続きである。まず、このことを証明する必要がある。 このため、企業の全体期間の観点から見た場合の複式簿記の数理的構造について考察を行った。そして、企業の全体期間の視点から複式簿記構造における各変数の諸性質を明らかにした。 また、今日、会計上の資産・負債の公正価値評価差額を収益・費用・純損益として計上せず、純資産の変動(その他包括利益)として計上するという会計処理が広く行われている。したがって、企業の経営者の会計上の選択(収益認識基準の選択)の考察を行う際にも、前提とする会計の計算構造を、包括利益を計算する複式簿記構造とすることが必要である。こめため、包括利益を計算する複式簿記の数理的構造を、任意の一会計期間における計構造と、企業の設立時点から解散時点までの全体期間における計算構造という観点からそれぞれ考察した。そして、包括利益計算の複式簿記構造における各変数の諸性質を明らかにした。
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