2009 Fiscal Year Annual Research Report
業績報告問題と利益・業績概念―米国および国際会計基準審議会の動向―
Project/Area Number |
19730321
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
牧田 正裕 Ritsumeikan Asia Pacific University, 国際経営学部, 教授 (60292083)
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Keywords | 財務報告 / 利益概念 / 業績概念 / 合計基準 |
Research Abstract |
「業績とは何か」という問題に関わるこれまでの議論の動向を歴史的に検討することを通じて、業績報告問題の歴史的な位置を明らかにした。1940年代の「当期業績主義」(current operating performance concept)対「包括主義」(all-inclusive concept)を巡る論争にまで遡って検討を加え、これまで利益概念や業績概念の問題がどのように論じられてきたのかを社会的コンテクストの中で跡付けることを通じて、経営者業績観と企業業績観という業績観をめぐる議論ないし(古くて新しい)論争が現在においても終止符が打たれていないことの含意を明らかにした。 経営者業績観と企業業績観という2つの業績観と管理可能性概念、実現原則さらにはリサイクリング(未実現保有損益の実現後における純利益計算への振替ないし再分類調整)との関係を整理しながら、純利益概念と包括利益概念の会計計算構造上の位置を整理した。その結果、経営者の管理可能性を会計利益計算から排除すると、業績報告の有用性が損なわれてしまう可能性があるという知見を提示した。 業績報告をめぐる問題が国際的なディメンジョンにおいて議論されている現状に鑑み、業績報告に関する会計基準設定プロセスへの参加構造と形態(誰がどのような問題に関心をもち、当該プロセスにどのように関与しているのか)を分析しながら、IASB/FASBの共同プロジェクトとして取り組まれてきた業績報告プロジェクトにおいて、なぜ、利益ないし財務業績の「二元化」という方向性が打ち出されてきたのかを明らかにした。ここでは、基準設定プロセスの関係者に対するインタビュー調査を行い、包括利益への一元化という方向へなぜ踏み切れなかったのかを明らかにした。
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Research Products
(2 results)