2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチステークホルダーによるガバナンスのための企業情報開示に関する研究
Project/Area Number |
19730322
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
記虎 優子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 現代社会学部, 専任講師 (50369675)
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Keywords | 企業の社会的責任 / CSR / テキストマイニング / 企業ホームページ / 財務情報開示 / 社会・環境情報開示 / コーポレート・レピュテーション / テキスト型データ |
Research Abstract |
1テキストマイニングによる記述情報の分析 企業の社会的責任(CSR)に対する基本方針についての各企業の比較的短い記述的回答(以下、CSR方針)に対してテキストマイニングを実施し、CSRに対する企業の戦略的姿勢についての知見を得ることを試みた。CSR関連研究においては、テキストマイニングの手法がこれまで利用されていないことを踏まえて、そもそもCSR方針に対してテキストマイニングを行なうことが適切であるかどうかを検討した。その上で、テキストマイニングを行なうに当たって必須となるテキスト型データのクリーニングや、置換辞書および削除辞書の作成を行なった。今後は、CSR基本方針に基づいて企業を類型化し、CSR方針の違いによって情報開示活動も異なるのかどうかを解明することが課題である。 2企業の情報開示水準の規定要因の分析 財務情報開示水準の規定要因を解明し、その結果日本企業がさまざまな戦略的動機に基づいて財務情報開示の充実に取り組んでいることが分かった。また、CSR活動との関連を中心に、企業ホームページにおける情報開示や社会・環境情報開示の規定要因をそれぞれ解明した。その結果、企業ホームページにおける情報開示の充実は、CSR活動に対する総合的な取り組み度合いのほか、個別のCSR活動に着目した場合に、特に雇用・人材活用や消費者対応にかかわる各CSR活動と正に強く関連していると分かった。また、企業社会業績(CSP)の高い企業ほど、つまりCSR活動に積極的な企業ほど社会・環境情報開示の質が高いことが分かった。 3企業の情報開示の効果の検証 最近会計学研究において注目されるようになったコーポレート・レピュテーションを企業の情報開示の効果測定指標として捉えて、社会・環境情報開示に着目して、企業の情報開示の効果を捉えることを試みた。その結果、社会・環境情報開示の質が高い企業ほど、総じて高いコーポレート・レピュテーションを得ていることが分かった。
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