2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730331
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 薫子 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
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Keywords | 都市 / インナーエリア / エスニシティ / グローバリゼーション / 再開発 |
Research Abstract |
20年度前期は昨年度の横浜・寿町における調査結果の中間的総括、分析と報告を主に実施した。分析の結果として、(1)寿町地区の人口構成の変化(高齢者、障害者の増加)と福祉への依存の高まり(生活保護受給者の増加)、(2)従来型の地域活動団体の分化(労働組合・キリスト教団体の高齢化と野宿者支援へのシフト、自治会と行政による協力関係の構築・まちづくり事業の取組、(3)新規参入型の地域活動団体・NPOの登場と外部の人脈を活かした地域活性化策の実施)、(4)簡易宿泊所経営者による新規事業(ホステル経営)の展開、を確認することができた。 その結果にしたがって、20年度後期は寿町において聞き取り調査を実施し、上記に記載した関係団体、事業主等から活動展開の経緯や課題に関する質的データの取得に努めた。寿町では1970年代に設立された複数の地域活動団体があるが、それらに加えて近年は新規に設立されたNPOなどが従来福祉的領域であった分野の事業化を図り、町外での認知度を高めている。地域全体の構造変容に伴って地域活動も変化していく中でいかに従来型の団体と新団体が関係構築を図り、地域社会に有益な資源を生み出せるかが、今後のコミュニティ存続の課題である。 同時に、広島県呉市広地区においても外国人住民増加が地域コミュニティに及ぼした影響について聞き取り調査、文献調査によるデータ収集と分析を実施した。具体的には(1)外国人住民(主に日系ブラジル人)、(2)外国人住民の増加に伴うコミュニティ課題の解決に取り組む地域活動団体のうち(ア)比較的居住期間の短い新住民および地区外在住者、(イ)コミュニティセンターなど地域行政を背景とする従来型組織への聞き取り調査を実施し、外国人住民の増加によって地域活動団の間に生じた新たな関係とその変化について分析、報告を行った。
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