2009 Fiscal Year Annual Research Report
「永続的ソジョナー」中国人によるトランスナショナルな社会的統合の研究
Project/Area Number |
19730335
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坪谷 美欧子 Yokohama City University, 国際総合科学部, 准教授 (80363795)
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Keywords | 国際移民システム / 中国人 / アイデンティティ / 永続的ソジョナー / リプリゼンタティブ・エスニシティ(representative ethnicity) / 統合 |
Research Abstract |
今年度は1年間、学内の「海外及び長期国内出張」制度を利用し、中国東北三省から日本中国人移住者が増加していることに着目し調査・研究活動を行った。研究テーマとしては2つの大きなテーマにもとづき、調査活動を実施した。第1に、中国人留学生によるトランスナショナルな移民システムの展開と地元社会インパクト、第2に中国残留孤児帰国者家族や中国人の子どもたちの日本の学校教育不適応問題についての中国の教育状況との比較研究である。 日本留学に関しては、新たな層の中国人留学生の広がりが目立っている。とくに、「80後」「90後」などと呼ばれる、80年代以降に生まれた、いわゆる「一人っ子政策」実施以降に生まれた物質的な豊かさを享受してきた世代、またこうした集団に共通する「富二代」と呼ばれる父母や家庭が裕福な家庭で育った若者たちにとっては、前の世代の留学とはまったく異なる意味合いを持つようだ。中国の経済発展にともない、留学も教育の市場化、留学産業により留学自体が一般化・大衆化し、旅行も含めると海外移動がさまざまな層に浸透しつつあることが明らかになった。 在日中国人の子どもの教育の問題に関しては、中国では激烈な受験競争のほかにも、進学校入学や転入のための現金授受などが広がっており、教育的格差からの逃避として日本の学校を捉えるのも無理はない。かれらを受け入れる日本の学校の教員も研修などを通して、こうした学校制度や教育事情を知る必要があるのかもしれない。中国の経済発展に伴い、立ち遅れていた社会学の分野の研究の発展は目覚しく、こちらの研究者との交流および共同研究は非常に有意義なものであった。上記の2テーマ以外にも、中国残留孤児家族の帰国者、日本人と結婚のために渡日する女性やその子どもたち、日本企業就職などの入国ルートも看過できない規模になりつつあることがわかった。
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Research Products
(3 results)