2010 Fiscal Year Annual Research Report
「永続的ソジョナー」中国人によるトランスナショナルな社会的統合の研究
Project/Area Number |
19730335
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (80363795)
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Keywords | 国際移民システム / 中国人 / アイデンティティ / 永続的ソジョナー / リプリゼンタティブ・エスニシティ(representative ethnicity) / 統合 |
Research Abstract |
本研究は、日本における中国人移住者たちのアイデンティティの変容や送り出し社会に与える影響の考察を通して、日本の「多文化」化や東アジアにおける社会変容を展望するものである。本年度はとくに、中国人移住者の「国際移民システム」および「永続的ソジョナー」アイデンティティについて、とりわけ近年増加が顕著である(1)80年代以降の出生者および(2)中国東北部出身者という新たな層の中国人移住者の広がりに着目して研究を行った。 (1)「一人っ子政策」実施以降に生まれた世代にとっての渡日・滞日の意味づけ 「一人っ子政策」以降に生まれた若者に関しては、中国ではやや差別的に「80後」「90後」などと呼ばれているが、中国の大学教育の急速な拡大により就職難が深刻となり、代替的に海外留学を選択する現象が見受けられる。さらにかれらは西欧や先進国へのコンプレックスがより薄れ、強い自信ややや形式的な愛国心を持ちながら海外に留まっていることが顕著である。 (2)中国東北部からの中国人移住者の増加 現在では東北三省(遼寧省・吉林省・黒龍江省)の出身者が在日中国人の3割以上を占められている。朝鮮族、IT産業及びコールセンターなど外部業務委託関連の日系企業の進出など、日本語人材をめぐる環境としては中国の他地域とは大きく異なっており、東北部からの移民送り出しのプロセスと、それによる家族や地元へインパクトも看過できない。東北部においては、移民送出に必要な斡旋業者や親族ネットワーク、また日本からの送金、親族の扶養など家族や世帯レベルでのネットワーク、地元への投資や起業等、日本への移住をめぐってトランスナショナルな社会空間が形成されている。
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Research Products
(3 results)