2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本における地下鉄の誕生とモダニティ経験の変容にかんする文化・歴史社会学的研究
Project/Area Number |
19730340
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
近森 高明 Japan Women's University, 人間社会学部, 講師 (10411125)
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Keywords | 社会学 / 都市空間 / モダニティ |
Research Abstract |
平成19年度の研究によって得られた新たな知見および成果は、以下の通りである。 1 W.ベンヤミンの都市論の検討 本課題の理論的背景となるベンヤミンの都市論的思考の検討をおこなった。(1)拙著『ベンヤミンの迷宮都市』(世界思想社,2007年)への書評リプライとして、モダニティ論と精神分析の接合という理論的関心を提示した(「書評に応えて」『ソシオロジ』52巻3号)。(2)概説書向けに『パサージュ論』の内容紹介をおこなった(『社会学ベーシックス第4巻』世界思想社,近刊予定)。(3)共同研究「ストリートの人類学」(代表・関根康正)の報告書向けに、「痕跡」概念から遊歩者の陶酔について読み解く試みをおこなった(「遊歩と痕跡」『国立民族学博物館調査報告書』,近刊予定)。 2 本課題の理論的視座の構築 (1)精神分析的な視角をもつ都市論(S.パイル、A.ヴィドラーら)について検討し、フロイト的な《無気味なもの》との関連でモダニティ経験をとらえ返すという本課題の視座の整備につとめた。(2)人文地理学や社会学、都市研究における「空間論的転回」以降の議論の展開を参照・整理した。(3)社会史・文化史的な地下空間論(R.ウィリアムス、B.ボブリックら)について検討した。 3 歴史資料の収集・整理 大正〜昭和初期を中心に、地下鉄を主題とする歴史資料を収集・整理した。(1)地下鉄導入にあたり主導的役割を果たした早川徳次による言説。(2)地下鉄の必要性と有用性を論じる一般向け解説書。(3)地下鉄をめぐる技術的詳細を論じる工学専門書。 以上の成果をもとに、平成20年度には、1920年代の地下鉄導入プロセスを対象として、技術・社会的想像力・空間知覚の変容がモダニティ経験といかに連接しているのかを主題とする、独立した論考をまとめてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)