2009 Fiscal Year Annual Research Report
男性介護者の実態に関する質的調査研究―家族・ケア・ジェンダーのインターフェイス
Project/Area Number |
19730347
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
斎藤 真緒 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 准教授 (70360245)
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Keywords | ケア / ジェンダー / 男性介護者 / 家族介護 / 介護者支援 / 男性性 |
Research Abstract |
第一に、男性介護者の介護実態について、量的・質的調査を実施した。具体的には、全国初の男性介護者に対する実態調査を実施し、高齢男性介護者を中心として、介護者自身の健康問題や、仕事との両立の困難(介護離職)、家事(炊事、洗濯、買い物)における困難、地域における孤立傾向が確認された。一連の量的研究は『男性介護者白書一家族介護者支援への提言』としてまとめ、「2008年度生協総研研究賞特別賞」を受賞した。また、男性介護者の「主観的現実」に注目し、インタビュー調査および男性介護者が執筆した手記の分析を行った。本研究では、家族介護固有の感情の変化を、「両義的感情経験」としてとらえ、初動期から看取りまでの介護プロセスに即した介護感情の変遷を分析した。 第二に、男性介護者に対する具体的な支援方法として、東京、長野、福岡、宮城といった各地ですでに実施されている、男性介護者の集いの参与観察を行った。研究開始当初は予定していなかったが、各団体調査を行う過程において、どの団体も会員の拡大や運営方法に苦慮しており、他団体の情報を欲していた。こうした意向を踏まえ、各団体に呼びかけ、2007年から1年間準備会議を定期的に開催し、2008年3月に「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」結成集会を開催し、150名の会員から活動が開始した。1周年を迎えた2010年4月現在では、会員は400人まで拡大した。当事者の組織化や社会的な情報発信を含む「アクションリサーチ」という性格を強めるものとなった。研究の先進性・現代性・社会性という観点からみても、男性介護ネットの設立に関与できたことは、現場に徹底的に寄り添いながら考えるという、研究姿勢を獲得する上で極めて貴重な体験であった。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Fragile love? Male caregivers in Japan2010
Author(s)
Mao Saito
Organizer
the 18th Annual Conference on Men's and Masculinities : Growing Our Field : Emerging Perspectives on Masculinities and Men's Lives
Place of Presentation
Georgia State University Atlanta, USA
Year and Date
20100326-20100328
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