2008 Fiscal Year Final Research Report
Study on the condition of the small-scale-childcarein Children's Home
Project/Area Number |
19730352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social welfare and social work studies
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
ITOH Kayoko Saitama University, 教育学部, 講師 (10389702)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Keywords | 児童福祉 / 児童養護施設 / 小規模ケア / 環境 / 満足度 |
Research Abstract |
本研究は、子どもの発達や人格形成に有益であるとされる、養育ケア単位の小規模化について、その期待される効果と子どもに与える影響、また導入されない理由・導入の阻害要因を明らかにし、今後の課題について検証することを目的とした。 上述した目的を達成すべく、以下の3つの方法を用いて研究を行った。 (1)児童養護施設における小規模ケア実施に関する先行研究レビュー (2)児童養護施設職員を対象としたインタビュー調査 (3)児童養護施設入所児童を対象としたインタビュー調査 その結果、以下のことが明らかとなった。 ・ 児童養護施設における養育単位の小規模化については、施設長、現場職員をはじめとしてほどんとの人が、その必要性を主張している現状が明らかとなった。同時に、小規模化が必要とわかっていても、施設建物の改築の必要性や職員配置(職員不足)の問題など、解決すべき施設運営上の課題が多いことが確認でき、施策レベルでのバックアップが必要であることが示唆された。 ・ 施設職員を対象としたインタビュー調査からは、限られた条件の下でも、子どもたちに少しでも家庭に近い養育を提供しようと努力する職員の努力や工夫の現状を確認することができた。一方で、職員の中にある矛盾や葛藤の課題についても明らかとなり、子どもと職員とが真の意味で「生活を共有すること」の困難さが浮き彫りとなった。 ・ 施設入所児童を対象としたインタビュー調査からは、多くの子どもが、自分が施設で生活していることについて肯定的な感覚や感情を抱いている様子がうかがえた。一方で、施設入所という生活の場が変わる際には少なからずネガティブな感情をもっていたことも明らかとなり、長い年月をかけて職員や他の子どもたちと良好な関係を構築する中で自己解決してきたものも少なくないことがうかがえた。 今後は、本研究の成果を踏まえ、施設退所から自立支援に向けた援助(リービングケア・アフターケア)のあり方について検証していきたい。
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