2008 Fiscal Year Annual Research Report
利用者による選択のための介護サービス評価に関する研究
Project/Area Number |
19730353
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 久 The University of Tokyo, 総括プロジェクト機構ジェロントロジー寄付研究部門, 助教 (80350445)
|
Keywords | 高齢者福祉 / 介護サービス |
Research Abstract |
介護保険制度はサービスの利用者自らが介護サービス事業者を選択し、契約によりサービスを利用する制度である。しかし、実際に利用者がサービスを利用する場面において、必要とされるサービスに関する情報が不足していることから、介護保険法に基づき、平成18年4月からからすべての事業者に対して、介護サービスの内容や運営状況に関する情報を公表することが義務付けられ、「介護サービス情報の公表」制度が創設された。12サービスが情報公表の対象となっている。 本研究では、介護サービス情報公表制度システムで公開されているデータを集計、分析することにより、サービスの課題を析出する。本稿では居宅介護支援(ケアマネジメント)サービスをとりあげ、神奈川県の全県データを対象としている。神奈川県においては、平成18年度に1,289の居宅介護支援事業所に調査が実施され、1,285事業所の介護サービス情報が公表されている。このようにすべての事業所に訪問調査を実施し、事業所が実施しているサービスの実態を利用者に公表することは画期的なことである。 本研究の総合的所見では、「サービスの内容に関する課題」より「事業所の運営状況に関する課題」に抽出項目が多い傾向が見られた。アセスメントシートの作成など日々の業務の中心となる作業については行っているが、その業務の改善、効率的運営、コンプライアンス的側面について十分でない事業所が多いことが明らかとなった。別の見方をすると、居宅介護支援の事業所は日々の業務に追われ、サービスの質の改善、組織運営について考慮、実施する時間と余裕がない状況が示唆されていると考えられる。
|