2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの少子化問題と出産奨励運動に関する歴史研究
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19730355
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河合 務 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10372674)
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Keywords | 家族 / 出産奨励運動 / 「人口問題教育」 / 少子高齢化 / ニュヴィルト法 / ヴェイユ法 / 家族計画 / 〈性〉 |
Research Abstract |
近年、フランスは「ベビーブーム」を迎えている国として注目され、家族手当など手厚い経済的支援がしばしば言及されるが、出生率低下問題に長く取り組む過程で、子ども・若者の家族形成意識への教育的働きかけが行われてきた同国の歴史的経験に関しては、これまで詳しく紹介されてきたわけではない。本年度実施した研究においては、フランス第四共和政期(1944年)~1958年)および第五共和政期(1958年~)における出産奨励運動の考察を集中的に行い、「フランス人口増加連合」とその周辺に残された史料をもとに同団体が主導して学校教育のカリキュラムに導入された「人口問題教育」の内実について検討した。 とりわけ、当該期の人口政策を主導した国家機関である「人口・家族に関する高等諮問会議」が作成した報告書の分析を行い、また、同報告書で言及された「人口問題教育」に関する教師用手引書の分析にも着手し、多子家族の形成に向けたプロパガンダと学校教育内実や両者の連動性にあり方を明らかにするよう努めた。第五共和政期では1960・70年代における「ニュヴィルト法」「ヴェイユ法」という2つの立法に対して「フランス人口増加連合」がどのような反応を示し、いかなる論陣を張ろうとしたのかという点に注目し詳しい検討を行った。 また、少子化をめぐる言説分析が家族研究や〈学校-家族〉関係の解明に提供しうる視点についても検討した。
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Research Products
(4 results)