2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730366
|
Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
原田 謙 Iwaki Meisei University, 人文学部, 講師 (40405999)
|
Keywords | 高齢者 / エイジズム / ネットワーク / 尺度 / 老年学 |
Research Abstract |
本研究は、「日本語版Fraboniエイジズム尺度(FSA)短縮版」を用いて、都市部の若年男性におけるエイジズムに関連する要因を検討することを目的とした。雇用政策、年金・介護保険といった社会保障をめぐる「世代間対立」の問題が山積している今日、若年者が高齢者に対して抱いている偏見・差別の実態およびその要因を明らかにすることは、実践的な要請でもある。データは、桜美林大学加齢・発達研究所が2003年に東京都の区市部および千葉県・神奈川県・埼玉県の市部に居住する25〜39歳の男性1,289人を対象に実施した調査から得た。 分析の結果、第1に、親しい高齢親族数が少ない者ほどエイジズムが強かった。とくに別居親族の親密なネットワーク(intimate network)の影響が確認され、ネットワークのタイプによってエイジズムに対する影響が異なる点が示唆された。しかし、祖父母との同居経験の有無は、エイジズムとの有意な関連がみられなかった。第2に、加齢に関する知識が乏しい者ほどエイジズムが強く、加齢に関する正しい情報と教育によってエイジズムを弱めることができる可能性が示された。学校・公共施設におけるエイジング教育のプログラム開発などによって、一般住民に高齢者の状況やエイジング・プロセスに関する情報を提供する「啓発的老年学(advocacy gerontology)」の意義が認められる。第3に、生活満足度が低い者ほどエイジズムが強く、日常生活における欲求不満がエイジズムに影響することが示された。加齢に関する正しい知識の提供だけでなく、年金・介護保険といった老後の生活保障に関する正確な情報提供も、エイジズムを解消するために必要な方策と考えられる。
|
Research Products
(1 results)