2007 Fiscal Year Annual Research Report
政策決定過程へのボランタリーセクターの参加とローカルガバナンスの変化に関する研究
Project/Area Number |
19730372
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
永田 祐 Aichi Shukutoku University, 医療福祉学部, 講師 (90339599)
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Keywords | ローカルガバナンス / ボランタリーセクター / 地域福祉 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に基づいてイングランドにおける近隣再生政策の地方自治体レベルでの展開に責任を持つ地域戦略パートナーシップ(LSP)におけるボランタリーセクターの参加について、文献及び現地調査を行った。 ローカル・ガバナンスへのボランタリーセクターの参加について「先進的」とされる自治体(ロンドン・タワーハムレット区)及び継続的に調査を行っているロンドン・リュイシャム区において、それぞれ自治体担当者とLSPに代表者を送るボランタリーセクターのネットワーク組織の代表者、そして全国レベルでLSPの調査などを行う非営利組織(アーバンフォーラム)の担当者へのヒアリングを行った。 研究の成果として、(1)自治体担当者は、ボランタリーセクターを自治体にはない資源(例えば、社会的に排除されている人々の声)をもつ参加者としてLSPへの参加を評価している、(2)他方、ボランタリーセクターの側は、以前と比べ自治体は、ボランタリーセクターの存在を肯定的に見ていることを評価しつつも、依然として対等なパートナーとして認められているとは感じられないこと、が明らかになった。(3)また、イングランドのLSPは、ボランタリーセクターを通じて市民のニーズをローカル・ガバナンスに反映しようとしているが、ボランタリーセクターのネットワークが不十分な地域では、こうした代表性を十分に担保できないという課題もあることも明らかになった。 現在、日本でも自治体とボランタリーセクターとの協働が大きな関心事となっているが、その中身はサービス供給に焦点を当てた協働が中心であり、イングランドのような政策決定過程への参加に関する議論は、ほとんどされていないといってもよい。本年度の研究からは、ボランタリーセクターの政策決定過程への参加を考えていく場合、ボランタリーセクター固有の貢献とその代表性を担保するためのネットワークの存在が重要であることが示唆された。
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