2008 Fiscal Year Annual Research Report
政策過程へのボランタリーセクターの参加とローカルガバナンスの変化に関する研究
Project/Area Number |
19730372
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
永田 祐 Doshisha University, 社会学部, 専任講師 (90339599)
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Keywords | ローカルガバナンス / ボランタリーセクター / パートナーシップ |
Research Abstract |
本研究は、イングランドおいて近隣再生政策の地方自治体レベルでの展開に責任を持つパートナーシップ機関である地域戦略パートナーシップ (Local Strategic Partnership) が、ボランタリー組織の政策決定への参加や他主体との協働にどのような影響を及ぼしたのかを分析することを通じて、様々な主体が重要な役割を果たしうるようなローカルガバナンスを具体化するための条件を明らかにすることを目的に行った。具体的に、地方自治体とボランタリーセクターとの関係に着目し、リサーチクエスチョンとして次の3点を設定した。 (1) LSPというパートナーシップ機関の設置及び実際の取り組みが、自己組織的な組織間ネットワークとしてのガバナンスへの変化を促しているのか、またその要因は何か。 (2) そのガバナンスにおけるボランタリーセクターの役割はどのように変化しているのか。 (3) また、こうしたガバナンスを具体化する条件は何か。 方法としては、ケーススタディを採用し、近隣再生政策の対象自治体から選定した地域(ロンドン・リュイシャム区、タワーハムレット区、サッザック区、ランベス区)において関係者にインタビュー調査を行った。研究の結果として、以下のことが明らかになった。 (1) ボランタリーセクターは、LSPの構成メンバーとして、地域の戦略的意思決定における重要なパートナーとして認識されていた。 (2) 特にその際「行政が接近困難なグループ等社会的に排除されている人の声を政策過程に反映できること」が、主要な貢献として認められていた。 (3) 他方で、ボランタリーセクターは多様であり、セクター内での代表性を担保するためのネットワークの必要性や、セクター内での民主的な手続きが重要であることが明らかになった。 (4) また、それぞれの組織基盤が脆弱であることから、政策過程に参加し、またその代表を選出するためのネットワークをこうしていくためにはセクターの基盤整備への支援が必要であることも明らかになった。
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