2008 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険制度施行後におけるホームヘルパーの労働と健康に関する研究
Project/Area Number |
19730376
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 康友 Chubu Gakuin University, 人間福祉学部・健康福祉学科, 講師 (80369701)
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Keywords | 介護保険制度 / ホームヘルパー / 労働条件・待遇 / 人材確保 / 訪問介護事業所 |
Research Abstract |
A県にあるB訪問介護事業所(以下、事業所)に所属するホームヘルパー(管理者1名、サービス提供責任者3名、常勤ヘルパー2名)・C県にあるD事業所に所属するホームヘルパー(サービス提供責任者2名、常勤ヘルパー2名)を対象にインタビュー調査を行った。 その結果、サービスの援助内容・質以前に、そもそもサービス提供をするための登録型ヘルパーの確保が困難であることがわかった。しかし、D事業所では、要支援1・2に認定された利用者が多く、新予防給付の影響から彼らがサービス利用を抑制したため、ヘルパーの確保が困難であっても事業所が立ち回ったとの事だった。また、世間で言われるような介護現場で働く者の劣悪な労働条件・待遇からの「介護離れ」が原因での人材難だけではなかった。ヘルパー確保を困難にさせる原因として、事業所に所属する介護福祉士有資格者の占有率で加算される「特定事業加算」により、介護福祉士取得後、退職する(引き抜きにあう)登録ヘルパーが出てきているとの事であった。 主に登録ヘルパーに頼って、訪問介護を営む事業所が多い。そのため、短時間型の登録ヘルパーも多く、パズルを組み合わせるような形で利用者に登録ヘルパーを派遣している。そのため、1名の登録ヘルパーが休暇を取ることで、大幅な変更を余儀なくし、サービス提供責任者はシフト管理が大きな負担になっていることがわかった。また、登録ヘルパーに退職されることを恐れ、困難ケースなどは登録ヘルパーではなく、常勤ヘルパーに依頼することが増えているとの事だった。そのため、常勤ヘルパーが担当するケースは困難なケースが多く、心身ともに負担をかけているとの事だった。インタビュー調査から訪問介護事業が非常に不安定な状況にあることがわかった。利用者・その家族の生活を支えるためにも、介護保険制度下においてホームヘルパー、訪問介護を営む事業者が安定できる仕組みに改善していくことが必要であることがわかった。
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