2009 Fiscal Year Annual Research Report
地方中小都市単身高齢者の生活継続を支援する小地域ケアネット実践方法に関する研究
Project/Area Number |
19730379
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
久保 美由紀 The University of Aizu Junior College Division, 短期大学部・社会福祉学科, 准教授 (10352791)
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Keywords | 単身高齢者 / ケアネット / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
本研究は、地方中小都市の単身高齢者の在宅生活を継続する小地域ケアネット構築の方法論について、イギリス及び日本の地域実践活動から検討してきた。イギリスの活動については、前年度までに訪問したTower Hamlets区と同様、小地域を基盤とした高齢者支援のパイロット事業(Link Age Plus)終了後も引き続き、自治体独自事業として実施しているLeeds市の取り組みの情報収集を行った。二地域の活動実践から、高齢者が自宅での自立生活を支援する、必要に応じて必要な支援を包括的に受けられるシステムが小地域を基盤として構築されていることを確認した。この活動は高齢者への支援体制の構築を意図しつつ、地域に住む多様な住民や組織等の主体的活動のきっかけをつくり、近隣ネットワークを有効に機能させ住民が住みやすい地域に変えていくことにもつながっている。このようなシステム構築には、1.サービスアクセスを可能とする窓口の一本化(シンプル化)、2.ニーズの早期把握のためのアウトリーチ手法の活用、3.自治体、非営利民間団体、地域組織、近隣、ボランティアなどの利用できる社会資源の活用とネットワーク化、4.自治体の責任・役割の明確化と非営利民間団体等とのパートナーシップ、といった要素が必要であることを確認した。一方、前年に実施した福祉施設による配食サービスを利用する高齢者の生活実態調査結果の整理、分析を、調査に携わった福祉施設職員と共同で行い報告書をまとめた。この報告書作成過程において、高齢者の生活課題に対する認識の共有化や他のセクションの職員間のコミュニケーションの改善が図られ、サービス提供者同士の協働関係が構築されていくプロセスを見ることができた。高齢者の日々の地域生活を支えるサービスや支援には、細分化したサービス等の提供ではなく、包括的に、また柔軟に対応することが求められるが、現状では、サービス提供者とボランティア、近隣住民との問でコミュニケーションやネットワークが存在しているものの、総括的な役割を誰(どこ)が担うのかは明確でなく、個別的なコミュニケーションやネットワークに限定されている状況だといえる。自治体の責任・役割の明確化とともに、パートナーシップによる取り組み実践が必要だといえる。
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