2009 Fiscal Year Annual Research Report
少子化社会における子どもの仲間関係の発達メカニズムの解明:0歳からの縦断的検討
Project/Area Number |
19730385
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
酒井 厚 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 准教授 (70345693)
|
Keywords | 仲間関係 / 発達メカニズム / 信頼感 / 縦断研究 / ピア・マネージメント |
Research Abstract |
本研究では、子どもの仲間関係の発達に関して、乳児期の親子間の愛着や信頼に求める愛着基点形成モデルと、乳児期からの多様な対人関係での経験を重視する社会的ネットワークモデルの両者の立場から比較検討を行なった。全時点の調査に参加したのは271家庭(回答者は母親)であった。また、3歳以降の仲間関係の発達について検討するため、3~6歳の子どものいる150家庭を対象に横断調査を実施した。 縦断調査データを使用し、3歳時点における仲間関係の3側面(仲間数、仲間と遊ぶ頻度、仲間関係での問題)に影響する要因を検討した。影響可能性要因(説明変数)には、本研究での2つの仮説モデルを考慮して次の4つのカテゴリー:1 属性変数(家庭年収[0:0歳時点,以下同様]、母親の学歴[0]、子どもの性別[0]]、2 子どもの気質変数(親和性[0])、3 愛着・信頼変数(母親が子どもに抱く信頼感[0,2]、子どもの愛着行動[2])、4 ネットワーク変数(家族形態[0]、保育施設の利用有無[0,2]、親による子どものピア・マネージメント[2])を用意した。 3歳時点における仲間関係の各側面を従属変数として階層重回帰分析を実施したところ、主に次のような結果を得た。 1 母親の学歴の高さ(β=.17)や0歳時点での保育施設の利用(β=.23)が、2歳時点での仲間と遊ぶ 頻度を高め(β=.41)、3歳時点の仲間数の多さにつながるという有意なパスが認められた。また、2歳時点の親によるピア・マネージメントの高さが、3歳時点の仲間数の多さを有意に説明していたが(β=.19)、愛着・信頼変数による有意な影響は見られなかった。 2 3歳時点における仲間関係の問題(他の子とうまくいかない、よくけんかをするなど)に対しては、 子どもの性別(β=.17)と親への愛着行動(β=.24)が有意に説明しており、ネットワーク変数との関連は見られなかった。
|
Research Products
(3 results)