2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己開示の適切条件の検討に基づく災害救援者のストレスケア技法の提案
Project/Area Number |
19730387
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
畑中 美穂 Meijo University, 人間学部, 助教 (80440212)
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Keywords | 自己開示 / 災害救援者 / ストレスケア |
Research Abstract |
本研究は、自己開示行動が心的外傷からの回復にとって有効にはたらく条件を明らかにした上で、自己開示を取り入れた災害救援者に対するストレスケア技法を提案することを目的としている。この目的の下に、今年度は、大学生を対象とした質問紙調査と、国内の消防職員を対象とした面接調査を行った。質問紙調査は、平成20年10月に大学生150名を対象に実施され、精神的に大きな衝撃を受けた体験に関する自己開示について検討された。衝撃的体験について自己開示をしたことがある者のうち、8割を超える者から「自己開示をしてよかった」と思った肯定的経験が報告されたが、5割程度の者からは、「自己開示をしなければよかった」という否定的な経験も報告された。 肯定的評価につながる自己開示と否定的評価につながる自己開示の違いについて、開示前の気持ちや開示相手の反応といった観点から検討された。面接調査は、平成21年2月から3月に実施され、関東圏内の22名の消防職員を対象に、衝撃的な現場活動後の自己開示やその他のストレス解消法、組織的なストレス対策の現況などについて聴き取りが行われた。調査対象者の半数以上が、衝撃的な現場活動後に一緒に出場した隊員同士で自己開示をしあい、経験や感情の共有をしていた。こうした自己開示は、組織的なストレス対策として公式的に行われている場合もあったが、自然発生的かつ非形式的なかたちで行われている場合もあった。「話すことで救われた」、「話せたことにより気持ちが楽になった」といった自己開示の主観的有用性が多く回答された一方、「上司や同僚に思っていることは話せない」といった自己開示への抵抗感や、「話しても無駄」といった自己開示に対する否定的意見もみられた。衝撃的な災害出場後の自己開示が有用と評価される条件について、自己開示の仕方や相手の反応の他、職場の人間関係の状態などから検討された。
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