2007 Fiscal Year Annual Research Report
反社会的行動を導く内的過程に関する研究-社会的情報処理と情動制御に基づく検討-
Project/Area Number |
19730388
|
Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉澤 寛之 Gifu Shotoku Gakuen University, 教育学部, 准教授 (70449453)
|
Keywords | 社会心理学 / 犯罪心理学 / 反社会的行動 / 社会的情報処理 / 情動制御 / 社会環境 / 発達的変化 / 社会的適応 |
Research Abstract |
本研究では、社会的情報処理と情動制御の2側面から反社会的行動が生起する二重内的過程を包括的にモデル化し、その発達的変化と適応的な方向での様態を明確化したうえで、内的過程に影響を与える要因を近接的要因(友人、家族、学校など)と遠隔的要因(社会環境や社会システム)の両面から同定することを目的とする。本年度は、社会的情報処理指標を中心として、1.横断的研究による発達的変化の検討、2.友人関係適応の予測性の検討、3.社会環境が社会化指標に及ぼす影響の検討を実施した。 1.では、社会的情報処理の発達的差異を中学生と高校生との比較により検討した。その結果、社会的ルールが知識として内在化されている程度を反映した構造的側面の指標を中心として、中学生よりも高校生が高い値を示すという発達的差異が確認された。 2.では、社会的情報処理指標とソーシャル・ネットワーク分析を用いて測定した客観的な友人関係の指標との関係を検討した。分析の結果、関係適応性を予測する上で、情報処理指標における知識の内在化の程度を反映した単純な指標はポジティブな影響を及ぼす一方、複雑な構造化の程度を示す指標はネガティブな影響を及ぼしていた。本結果から、知識の内在化の程度は、社会的行動と関係適応とでは異なる影響を及ぼす可能性が示唆された。 3.では、社会環境の特徴として集合的有能感と共同体暴力経験の2側面に着目し、個人の社会化の良好さを反映する社会的情報処理と情動制御の指標を媒介することで、反社会的行動に影響を及ぼす過程を検証した。分析の結果、本研究の媒介過程に関する仮説は支持され、社会環境は直接的に反社会的行動を誘発するのではなく、当該地域における子どもの社会化を失敗させることで、間接的にその子どもたちの反社会的傾向を高めることが確認された。
|
Research Products
(14 results)