2008 Fiscal Year Annual Research Report
エイズ予防行動としてのコンドーム使用を阻害する羞恥感情の抑制に関する研究
Project/Area Number |
19730392
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
樋口 匡貴 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 講師 (60352093)
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Keywords | エイズ予防 / コンドーム使用 / コンドーム購入 / 羞恥感情 / 羞恥の発生因 |
Research Abstract |
本研究課題は, 1. コンドーム購入時および使用時/使用交渉時に発生する羞恥感情の下位情緒を特定し, 2. そこでの羞恥感情の発生因を明らかにし, 3. 羞恥感情およびその発生因がコンドーム購入および使用/使用交渉行動を抑制する程度を明らかにし, 4. コンドーム購入および使用を働きかける対象者の行動変容ステージに応じて, そこでの羞恥感情の発生を抑制するための有効な教育プログラムを開発することを目的としている。 平成20年度にはまず, コンドーム使用状況における羞恥感情の種類及びその発生因を特定し, それらがコンドーム使用意図に及ぼす影響を検討した。その結果"恥ずかしい""はにかみ"といった種類の羞恥感情が強く生じていることが示された。さらにコンドーム使用場面における行動指針の不明瞭さがコンドーム使用行動を強く抑制していた。 また社会不安障害に対する治療法の1つであるビデオフィードバック法を応用し, VTRを使用したコンドーム購入トレーニングを開発した。トレーニングの効果をシングルケースデザインによって検討した結果, 開発したトレーニングがコンドーム購入時の羞恥感情の低減, 自己効力感の増加, 購入行動意図の増加に効果を持つことが示された。さらに作成したVTRについてのイメージ調査も行い, トレーニングの集団への適用可能性について探索的に検討した。 また平成19年度の成果より, コンドーム購入には内集団における非公式的な規範意識が関わっていることが示唆されたため, コンドーム購入に及ぼす集団規範の影響を検討した。その結果, 友人が持つコンドーム購入の規範意識や羞恥感情が, 個人のコンドーム購入に影響を及ぼすことが明らかになった。 これらの成果は, 日本心理学会第72回大会, 日本社会心理学会第49回大会, 日本行動療法学会第34回大会にて発表され, また複数の雑誌論文に投稿・審査中である。
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Research Products
(4 results)