2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730393
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Research Institution | Matsuyama Shinonome College |
Principal Investigator |
林 幹也 Matsuyama Shinonome College, 人文科学部, 講師 (80435081)
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Keywords | 態度・信念 / 社会的認知・感情 / 評価的条件づけ |
Research Abstract |
態度対象と情動刺激を対呈示することによって、その態度対象に対する好き嫌いを操作することができると言われている評価的条件づけ(evaluative conditioning)の社会的有用性を評価するための社会心理学実験を行った。より具体的には、(1)社会的に実在する事物への評価を変えることが出来るか、また、(2)学習に用いた態度対象だけではなく、それに関連する他の刺激にまで学習効果が般化するかを実験により検証した。 実験1においては、語「日本」と語「アメリカ」を条件刺激として、これらにポジディヴ・ネガティヴ感情語を対呈示することにより、これらの語への評価が変化するか検証した。学習後、自動的な評価を検出する為の情動プライミング課題を行うことにより、評価が変化していることを確認した。 実験2においては、上記と同様の学習後、それぞれに関連した視覚刺激である日章旗画像と星条旗画像を用意し、これらに対する自動的評価を情動プライミング課題により検証した。その結果、これらへの評価も語「日本」「アメリカ」と同様に変化していることが見いだされた。 実験3においては、上記とは逆に、日章旗画像と星条旗画像を条件刺激として、これらにポジティヴ・ネガティヴ画像を対呈示した。この手続きの後、日本と米国という2つの概念に対する評価を測定する為の潜在的連合テスト(IAT)を行った。その結果、これらの概念への評価もまた、学習によって変化していることを確認した。 以上のように、評価的条件づけは社会的に有意味な態度対象に対して適用可能で(実験1)、しかも学習効果は意味的に関連した別の対象にも及び(実験2)、かつ学習によって概念そのものへの評価が変化する(実験3)ことが明らかになった。以上のことから、評価的条件づけには社会的有用性がある。
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