2007 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク境界の共有性が個々の関係での葛藤解決過程に及ぼす影響
Project/Area Number |
19730394
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
相馬 敏彦 Kyushu Women's University, 人間科学部, 講師 (60412467)
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Keywords | ネットワーク境界 / 対人葛藤 / 社会的相互作用 / 態度の正当性 / ネットワークの共有性 |
Research Abstract |
対人関係において葛藤や対立が生じても、被害を受けた当事者が問題解決に向けた行動をとらず当事者によって問題が潜在化されることがしばしばある。本研究はこの対処の生じない過程が葛藤の生じた関係外の対人ネットワークの構造によって影響される可能性を追求するものである。本年度は、文献研究と実証研究を行い、葛藤相手に対して具体的な対処をとる以前の段階、すなわち問題を認識し葛藤の責任を判断する定義の段階にネットワークの構造が及ぼす影響を明らかにした。大学内のルームメイトペアを対象とするパネル調査では、ペアの一方からの否定的な言動を他方が不当なもの(正当性が低い)と判断するかどうかに関係外のネットワークの共通性が影響するかを検証した。その結果、次の二つのことが明らかとなった。一つはネットワークが共通しているほど周囲には葛藤時に仲裁者となる他者が多いと認知しやすいこと、もう一つは共通性の高さによって相手から否定的な言動を向けられた場合でも相手の態度を不当なものだとは判断しない、逆に正当化しうるということである。これらの成果を踏まえ、次年度は統制された条件下での葛藤相手に対する不当性評価をとりあげそれに及ぼすネットワーク共通性の効果を明らかにすると同時に、上記のネットワークの共通性がもつ否定的な側面と肯定的な側面との関連性について検討する予定である。なお、既に得られた成果の一部は、第55回日本グループ・ダイナミックス学会と第29回国際心理学会議において発表される予定である。
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