2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730399
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
小川 時洋 National Research Institute of Police Science, 法科学第四部, 主任研究官 (60392263)
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Keywords | 虚偽検出検査 / 空間注意 |
Research Abstract |
本研究は、我が国の犯罪捜査において実施され、しばしば虚偽検出検査とも呼ばれているポリグラフ検査を補う新しい検査として、空間注意課題の利用可能性を探ることを目的とした。実際のポリグラフ検査は、事件に関わったものにしか知りえない犯罪内容に関する被検査者の記憶の有無を調べる。その手続き旨は、隠匿情報検査と呼ばれ、ある事件について犯人しか知り得ない犯罪内容に関する項目(裁決項目)と、裁決項目と類似しているが事件とは直接関係しない項目(非裁決項目)を呈示し、それぞれの質問に対する生理反応の変化を基に、犯罪内容を知っているかどうかを判定する。本研究では被検査者にとって有意な刺激である裁決項目は、注意をよりひきつけるという仮説の下に、視覚定位課題(Posner,1980)を用いた隠匿情報検査の利用可能性について検討した。その結果、標的刺激の検出を求める視覚定位課題において、裁決項目を注意誘導手がかりとして提示した場合には、非裁決項目よりも復帰抑制効果が大きくなる傾向が見られた。続いて、本研究の計画の基礎となった先行知見の確認を目的として、注意誘導手がかりとして情動喚起スライドを提示する基礎実験を行った。その結果、写真刺激の情動価が復帰抑制効果に及ぼす影響は、視覚定位課題時の課題要求(検出課題か同定課題)によって異なることを示唆する新たな知見が得られた。そこで今度は、同定課題を求める視覚定位課題による隠匿情報検査実験を行ったが、やはり裁決項目を手がかりとして提示した場合には、非裁決項目を手がかりとして提示したときよりも復帰抑制効果が大きくなる傾向がみられた。視覚定位課題における裁決,非裁決間の復帰抑制効果の大きさの違いは、検出課題でも同定課題でも全体的に小さく、現時点で実際の応用は困難であると考えられる。その他、効果量の比較的大きいと期待される潜在連合テストの応用可能性については、さらなる検討が必要である。
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Research Products
(2 results)