2007 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の学力テストにおける学力構造の分析とその国際比較に関する実証的研究
Project/Area Number |
19730403
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 秀宗 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 准教授 (30342934)
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Keywords | 学力 / 読解力 / 項目分析 / 記述式問題 / 無回答 |
Research Abstract |
わが国で開発された学力テストとして,平成18年度に実施された群馬県児童生徒学力診断テストの分析を行った.本テストは,現場の教員だけでなく,教育測定の研究者が専門的意見を述べ,それが開発に生かされたテストであり,従来型の知識だけを問うような問題ではなく,思考力・表現力を測定することを目的としている.解答類型も精緻に構成されており,児童生徒の学習のつまずきを捉え得るものである. テストの分析は,単に項目別の正答率や合計得点の分布を観察したり,平均値の比較をするのではなく,テスト理論における項目分析の手法を用いて行った.その結果,多くの項目において,学力最下位層の児童生徒において正答率が急に低くなるという傾向が確認された.また,読解力が低い児童生徒は,算数・数学等他教科の成績も低くなる傾向にあることが示された. さらに,わが国の生徒が苦手とされている記述式問題について,正答率・無回答率に基づいて設問を分類し,どのような記述問題において無回答率が高くなるのかを分析したところ,本文や資料に書かれていることの要約よりも,それらにもとづいて具体例や自分の考えを述べる設問において,無回答率が高くなり正答率が低くなること等が見出きれた.こうした傾向は,小学校よりも中学校においてより顕著になってくることも確認された. 以上のことは,学力低下論争や学力の二極化問題などの議論で,経験または感覚として言われていることの一部をデータで実証的に示したものであり,その意義は大きいと考えられる.
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Research Products
(4 results)