Research Abstract |
本研究の目的は, 小・中学生の放課後の過ごし方が, 彼らの心理的健康や学業への態度(学習意欲など)にどのような影響を与えるのかを検討することである。 本研究では, 質問し調査およびインタビューを主たる研究手法とした。質問紙調査は, 平成19年度7月および2月に, 小学4〜6生を対象としたアンケートを実施した。また, 平成20年度7月および12月に中学生を対象としたアンケートを実施した。小・中学生ともに, 心理的健康, 学習意欲等を訪ねる項目を採択した。また, 小学生対象のアンケートでは, 放課後の活動を広くとらえる項目を採択した。中学生では, 放課後は, 部活動への参加が中心となるため, 部活動における満足感や達成感, 人間関係などを訪ねる項目も採用した。インタビュー調査は, 子ども放課後クラブを利用している小学生の保護者を対象に実施した。 平成20年度までの研究によって, 以下の点が明らかとなった。 子ども放課後クラブなど, 小学生を対象とした放課後活動は, 学校の教師が積極的にかかわることはないが, 施設の提供などで学校が関わる場合もある。小学校4年生, 特に, 5年生以降では, 放課後児童クラブ等に積極的に関わろうとする児童が減少し, 各々友だち同士で放課後の時間を過ごすことが多くなる。しかし, 放課後子どもが過ごすことのできる組織や団体があることは, 保護者の立場に立つと必要不可欠なものである場合がある。さらに, 放課後など, 学校外の時間で文字に接する(読書, 新聞など)機会が多い子どもは, 学習に対してポジティブな態度が育成される傾向が, 質問紙調査より明らかとなった。 一方, 中学校では, 部活動への参加が放課後の主たる活動場面であり, そこには, 中学校教師も深くかかわっている。部活動での居場所感覚や満足感は, 学習意欲や学校生活への意欲を高めることが推測された。
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