2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語処理技術を援用した対話的思考力の熟達化過程の解明と大学教育への応用
Project/Area Number |
19730412
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
富田 英司 Ehime University, 教育学部, 講師 (90404011)
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Keywords | 議論 / ネットワーク分析 / 自然言語処理 / 大学教育 / 認識論的信念 / 対話的思考 |
Research Abstract |
平成20年度は以下の4つ内容について研究を進めるよう計画していた。それぞれ以下のような達成状況である。 (1)議論プロセスを明らかにするツール群の洗練 : 前年度開発した議論のプロセス及び内容を分析するためのツール群を改良し, 既存のネットワーク分析ソフトとの連携可能性を向上させた。これにより, 分析結果の視覚化が容易になり, 分析手法の幅が広がった。 (2)議論の効果性に影響を与える個人の思考力の解明 : 議論力を支える個人の思考力の1つに, 「自分と他者の考えを区別する能力」があると着想するに至った。この能力は, 議論内容について, 自分と相手の考えの違いを明確にし, 重要な論点を追究していくプロセスの基盤となっていると考えられる。この能力の個人差を測定するための実験計画を立案し, 目下, データの蓄積を進めている。 (3)議論訓練による変化プロセスの解明 : 前年度開発した自己反駁法と呼ばれるトレーニング方法を改善し, 参加者にとってより容易に取り組めるよう簡素化を行った。現在, データの蓄積ならびに分析を進めている。 (4)議論実践場面における参与観察 : 議論実践場面の分析によって, 大学生が典型的に議論で苦手とするプロセスとして「問題定義」「意見共有」「探索的検討」「批判的分析」「比較検討」「集約」という6つがあることが明らかになった。これらに基づき, 大学生の議論訓練プログラムへと発展可能な「問題解決型議論過程モデル」を構築した。
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