2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730416
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榎本 淳子 Toyo University, 文学部, 准教授 (50408952)
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Keywords | 情動 / 友人関係 / 青年期 |
Research Abstract |
本年度は、青年が持つ感情特性が友人関係で生じる場面の解釈にどのように影響するのかについて、質問紙調査をもとに検討した。対象者は大学生105名で、調査内容は個人の感情特性を測定(個別情動尺度第4版(Izard et al,1993)を使用)した上で、任意に設定した友人関係場面についてその解釈を自由に記述し、さらにその場面を見て生じた感情を多面的感情状態尺度短縮版(寺崎・古賀・岸本,1991)にて測定するものであった。その際友人関係場面としては昨年度までの調査で検討した場面設定を再度検討し、6場面を選定した。その結果、a.大学生は日常的に肯定的な感情を抱いて生活していること、b.場面の解釈に影響を及ぼす感情特性は、肯定的感情よりもむしろ否定的感情であること、c.感情特性はクラスタ分析により3タイプ(低否定的感情群、肯定否定的感情群、高否定的感情群)に分類され、低否定的感情群は場面解釈として、友人に対して主体的で自ら状況を変えることが可能な積極的な解釈をすること、高否定的感情群では被害的で主体性のない解釈をすること、肯定否定感情群では主体的ではあるが積極性はなく、また被害的ではないという低否定的感情群と高否定的感情群の中庸な解釈をすることが示された。このことから感情特性が場面の解釈に大きく影響を与えていることが明らかにされ、特に否定的な感情を持つ青年は、友人関係で生じた出来事を被害的に捉える傾向があり、友人関係の維持を困難にする可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)