2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730425
|
Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
丹下 智香子 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 疫学研究部, 外来研究員 (40422828)
|
Keywords | 生涯発達 / サクセスフル・エイジング |
Research Abstract |
この研究は,「国立長寿医療センター、老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の長期縦断調査データを用いて,サクセスフル・エイジングの心理的側面である「主観的幸福感」を高く保つための要件を解明するものである。 1.データ収集:NILS-LSAでは40〜80歳代の地域住民(性・年代ごとに層化無作為抽出)を対象に約2年ごとに縦断的に調査を実施している。今年度もその第5次調査において自記式調査票および面接調査により,主観的幸福感,社会経済的地位,家族の有無,生活活動能力.対人関係,社会参加状況,認知機能,ライフイベントなどのデータの収集を行った。このデータは次年度の縦断的解析に用いる予定である。 2.成果:NILS-LSAの第3次調査・第4次調査のデータを用い,高齢者の主観的幸福感の増加/低下に直接影響する要因として経済状態満足度,対人関係,ライフイベント,死に対する態度を取り上げ,それぞれ解析を行った。その結果,従来示されているとおり,経済状態への満足度が主観的幸福感に正方向で影響することが確認された。他方,新たに対人関係の肯定的側面と否定的側面がそれぞれ主観的幸福感に影響するが,特に男性では肯定的側面,女性では否定的側面が影響する可能性や,死別経験や自身の病気などのネガティブなライフイベントは女性の主観的幸福感の低下と関連することなど,性差の存在が示唆された。さらに,死に対する態度が主観的幸福感と関連性を持つことが示唆された。 これらの知見は,高齢者が自らの「幸福な老い」を作り上げるための実践可能な対処法,および家族や社会が実践できるサポートを考える際に,重要な手掛かりとなると考えられる。
|
Research Products
(4 results)