2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730425
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
丹下 智香子 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 疫学研究部, 流動研究員 (40422828)
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Keywords | 生涯発達 / サクセスフル・エイジング |
Research Abstract |
この研究は、「国立長寿医療センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の長期縦断調査データを用いて、サクセスフル・エイジングの心理的側面である「主観的幸福感」を高く保つための要件を解明するものである。 1. データ収集 : NILS-LSAでは40〜80歳代の地域住民(性・年代ごとに層化無作為抽出)を対象に約2年ごとに縦断的に調査を実施している。今年度もその第5次調査(H20.7.18終了)・第6次調査(H20.7.23開始)において自記式調査票および面接調査により、主観的幸福感、社会経済的地位、家族の有無、生活活動能力、対人関係、社会参加状況、認知機能、ライフイベントなどのデータの収集を行った。 2. 成果 : NILS-LSAの第1次調査・第4次調査のデータを用い、主観的幸福感の6年間の縦断的変化について検討した。年齢差の有無の検討も意図して40歳代・50歳代・60歳代・70歳代に群わけし解析した結果、40歳代・50歳代において維持されている主観的幸福感が、60歳代以降において加齢に伴い低下することが示唆された。また、主観的幸福感の増加/低下に直接影響する要因として「家族・親族内での役割」を取り上げ、NILS-LSAの第5次調査のデータを用いて解析を行った。その結果、家族・親族内で何らかの役割、特に「相談相手」や「まとめ役」といった役割を担うことは、高齢者の主観的幸福感に肯定的な方向で作用することが示唆された。他方、介護者としての役割を持つことに関しては低い主観的幸福感と関連することが示された。 これらの知見は、高齢者が自らの「幸福な老い」を作り上げるための実践可能な対処法、および家族や社会が実践できるサポートを考える際に、重要な手掛かりとなると考えられる。
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