2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己愛人格傾向のストレス対処過程における基礎的・臨床的検討-介入に向けて-
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19730429
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小西 瑞穂 Shiga University of Medical Science, 医学部, 助手 (90378448)
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Keywords | 自己愛人格傾向 / ストレス過程 / コーピング / 対人ストレス状況 / 身体脅威状況 / 社会的評価状況 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代青年の間で特に注目される人格特性の一つである自己愛人格傾向のストレス過程について検討することである。平成19年度の研究から、自己愛人格傾向の高い者に社会適応上の問題が生じる可能性やそのストレス脆弱性が明らかとなった。そこで、平成20年度には自己愛人格傾向の高い者のコーピング・パターンに焦点をあて、対人ストレス状況、身体脅威状況、社会評価状況という3つのストレス状況を想定し、各ストレス状況における自己愛人格傾向の高い者のストレス過程を検討した。全般的にすべてのストレス状況において自己愛人格傾向の高い者は、ストレッサーに積極的に関わっていくことが認められた。しかし、男性の場合積極的対処を行っても、社会的評価状況では精神的健康への影響は認められず、身体的脅威状況では抑うつを高める可能性も示唆され、自己愛人格傾向の高い男性にとってこれらのストレス状況が対人ストレス状況よりもよりストレスフルであることが予測された。女性の場合には対人ストレス状況ではコーピングの媒介過程が認められず、社会的評価状況および身体的脅威状況では異なるストレッサーにも関わらず、同様のストレス過程が認められた。従って、自己愛人格傾向の高い女性のストレス過程は状況によって変化しない可能性が示唆され、コーピングの柔軟性という点で男性に比べて乏しい面があるのかもしれない。つまり、本研究からはコーピングの行い方やストレス過程が自己愛人格傾向という人格特性によって影響を受けていることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)