2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己愛人格傾向のストレス対処過程における基礎的・臨床的検討-介入に向けて-
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19730429
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小西 瑞穂 Tokai Women's University, 人間関係学部, 助教 (90378448)
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Keywords | 自己愛人格傾向 / ストレス過程 / コーピング・パターン / 対人関係 / 社会適応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代青年の間で特に注目される人格特性の一つである自己愛人格傾向のストレス過程を検討することである。平成19年度の研究からは、自己愛人格傾向の高い者のストレス脆弱性や社会適応上の問題が生じる可能性が明らかになった。平成20年度の研究からは自己愛人格傾向の高い者は積極的にストレッサーに関わるコーピング・パターンを用いやすく、このコーピング・パターンは異なるストレス状況でも同様に用いられ、コーピングの柔軟性に乏しいことが明らかとなった。つまり、コーピングの行い方やストレス過程が自己愛人格傾向という人格特性によって影響を受けるということを示している。そこで、平成21年度には他者評価に敏感な自己愛人格傾向の高い者がストレスを感じやすく、影響を受けやすいと考えられる対人関係に焦点をあてた検討を行った。自己愛人格傾向の高い者が親しい友人に対して行う他者操作行動によって、その友人が抱く本人へのイメージにどのように影響を与えるかを検討した。その結果、自己愛人格傾向の高い者は様々な他者操作行動を行うことが明らかとなり、その操作行動の種類によって他者に与えるイメージが異なることがわかった。つまり、他者から注目や賞賛を集めるために優越性操作を用いた場合には他者から調和的でない人というイメージを受けるが、自分の劣位性をアピールする卑下性操作を行った場合には他者から調和的であるというイメージを得ていることがわかった。つまり、自己愛人格傾向の高い者は様々な操作行動を行うために、他者から様々な印象を得る可能性があることを示している。これは自己愛人格傾向の高い者の対人関係の不安定性を示唆するだけでなく、社会適応上の問題やストレス脆弱性との関連が推測されるものと考えられる。
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Research Products
(12 results)