Research Abstract |
本年度は,まず,児童の不安障害に対する認知行動療法プログラムの作成を行った。石川・坂野(2005)のケース論文を参考に,全8回からなる認知行動療法プログラムが開発された。プログラムの治療技法として,認知の誤りの修正とエクスポージャーが含まれている。 次に,A県臨床心理士会に所属し,A県教育委員会から派遣されているスクールカウンセラーに対して,「A大学不安改善プログラム開催のお知らせ」という文書を送付し,プログラムの開催について公示し,対象者の募集を行った。その結果,問い合わせのあった対象者に対して,(1)プログラムの説明,(2)半構造化面接,(3)質問紙,(4)書面によるインフォームドコンセントを実施した。その結果,本年度は4名の児童を対象としてプログラムの有效性の検討を行った。プログラムは著者が行い,開発されたワークシート,マニュアルに基づいて行われた。また,対象者の同意を得て,大学院生を陪席させ,次年度のグループ活動におけるアシスタントとしてのトレーニングを行った。プログラムは全8回,対象者の都合に合わせて,週1回程度で行われた。 結果として,プログラムに参加した児童の不安症状,認知の誤り,ネガティブな自己陳述に改善がみられた。さらに,不安障害の診断基準から外れる児童もみられた。本研究の成果は,日本認知療法学会第7回大会において発表された。加えて,先行研究のレビューとメタ分析結果は,Child and Adolescent Mental Healthにおいて,児童の不安症状の縦断的な変化は,Japanese Journal of Child and Adolescent Psychiatryにおいて,それぞれ発表された。
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