Research Abstract |
平成19年度は,コミュニケーション教育プログラムと精神状態の関連を検討し,大学生のメンタルヘルス支援に役立てるという研究目的のー環として,研究協力者(烏取大学高塚人志准教授)が実践してきた「気づきの体験学習」と「乳幼児や高齢者との交流」を核とした"ヒューマン・コミュニケーション授業の効果を質問紙調査で検討した。 分析対象者は必修科目として受講した医学部2年生75名(4月と7月),自由撰択で受講した1年生30名(4月と7月)とした。質問紙は,調査協力者(福岡医療短期大学田中克江教授)と既存の尺度を組み合わせて作成したQOLL(Quality of life&learning)を用いた。QOLLは,1)簡易版・大学生生活チェックカタログ45:大学生の生活の質(Quality of Student Life:QOSLの実態を把握する尺度(峰松ら,2002),2)九州大学コミュニケーションスケール(峰松ら,2001),3)自己受容尺度(大出・澤田,1988),4)家族機能測定尺度(草田・岡堂,1993)から構成された。 共通点として,QOSL尺度の「社会的関係」,自己受容尺度の「他者への貢献」が高まっていた。医学部学生は,コミュケーションスケールでは有意に得点変化したものがなかった。2年次のみの変化をみているため1年次ほどの大きな変化がなかった,あるいは医学部学生の特徴である両方の可能性がある。また,医学部学生は,1年間の乳幼児との交流に加え高齢者との交流があったため,コミュニケーション以外では,さらに変化が見られたと考えられる。一方,一般学生は自由選択で受講しているため,「気づきの体験学習」のみでも効果がより大きいと思われる。 今後も引き続き調査と分析を行い.さらに詳細な検討を行っていく。なお,平成19年度の研究成果は,平成20年度より発表していく予足である。
|