2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730435
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
岡田 顕宏 Sapporo International University, 人文学部, 准教授 (20337083)
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Keywords | 恥の感情 / 表情認知の個人差 / 情動知能 |
Research Abstract |
実験的研究 前年度に引き続き、表情認知の個人差を測定する一連の実験を行った。モーフィングによって漸進的に変化する表情に対する判断(実験1)、瞬間呈示される快・不快表情(実験2)および中立・驚愕表情(実験3)に対する表情判断を行わせる実験を継続実施した。また、実験2-3での刺激呈示方法を改良し、瞬間呈示によって快・不快と性別判断を行わせる実験を行った(実験4)。情動知能得点が高い個人ほど、少ない手がかりで表情判断を正確に行い、中立表情と比較して驚愕表情に対して、より不快な表情であると判断する傾向が示された(実験1および実験3)。また、アレキシサイミア傾向の高い個人は、そうでない個人と比べて、性別判断においては差はないものの、表情判断においては、特に短い呈示時間(30ms以下)において表情判断が不正確であることが示された。 質問紙調査研究 一方、準投影法的質問紙に関しては、自己意識的感情尺度青年版(岡田,2003)の場面状況を呈示して、感情評定と自由記述反応を行わせた。自由記述において自己に関する言及が多い群と少ない群とに分けて比較したところ、自己言及が多い群では、不安や困惑、罪悪感などの感情に関する言及が多いのに対して、自己言及が少ない群では、感情に関する記述が少なく、葛藤を否認するような反応が多く見られた。 総合考察 近年、恥体験そのものではなく、恥と密接に関連すると見なされている思考様式(全体的自己への帰属)や行為傾向(逃避・隠蔽など)を恥特性として測定する風潮があるが、これらの特性は必ずしも恥体験と一致するわけではない。自己の情動的反応に対する意識的気づきのないまま逃避的行動をとることは、むしろ、恥の感情を欠くと言える。このような、ネガティブな情動体験を恥として意識化するという情動の意識化が、社会における適応的な行動調節としての恥にとって重要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)