2007 Fiscal Year Annual Research Report
休職中のうつ病患者に対する職場復帰援助プログラムのニーズと効果に関する研究
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19730439
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
酒井 佳永 Juntendo University, 医学部, 助教 (60349008)
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Keywords | 気分障害 / リハビリテーション / うつ病 / 産業精神保健 / 職場復帰 / 臨床心理学 / 精神医学 |
Research Abstract |
1.入院治療を行った2004年〜2007年に入院し、研究に同意した休職中の気分障害患者48人の職業的な予後とこれに関連する要因を調査した。職業的な転帰は「復職の可否」「復職後の再休職の有無」「継続して勤務した日数」で評価した。 2.48人のうち、8人が退院直後に転院するなどの理由で復職の可否が不明であった。2には復職準備中であった。復職の可否がわかった38人中31人(81.6%)は休職前の職揚に復職することができた。7人(18.4%)は復職に至らず退職していた。 3.復職できないことと関連していた要因は(1)双極性障害の診断がつけられていること、(2)休職以前の転職回数が多いこと、(3)今回の休職の期間が長いこと、(4)職場と医療機関との間に診断書以外のやり取りがないことであった。双極性の気分変動の存在や症状の遷延など患者の臨床的要因と、職場が主治医に対して病状や復職に際しての注意事項の確認などを求めて連絡をとるかとらないか、といった職場の体制が、ともに復職の可否と関わっていることが示された。 4.休職前に勤務していた会社に復職できた31人のうち、調査期間中に再度休職した患者は12人(38.7%)であった。この数値は、事業所を対象にした過去の調査結果よりも高く、入院治療が必要な重症の気分障害患者は、職場再適応がより困難であることを示唆している。生存分析で算出した勤務継続期間は平均603日であった。 5.再休職のリスクを高める要因は、(1)管理職ではない、(2)主治医により過量に飲酒する傾向が指摘されている、(3)職場と医療機関との間に診断書以外のやり取りがない、(4)復職直後の軽減勤務が行われていないことであった。8割以上の患者が一度は復職したにも関わらず、4割近くが再度休職していることから、復職判定の適切さに関する問題と、復職後のサポートの必要性が示唆された。特にストレス下で過量な飲酒をしてしまう傾向がある患者や、職場と医療機関間に連携がなく、段階的な復職を行っていない場合は復職後の適応が悪くなる可能性が示唆されており、患者本人への介入と職場の受け入れ態勢への介入が共に必要だと考えられた。
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