2008 Fiscal Year Annual Research Report
休職中のうつ病患者に対する職場復帰援助プログラムのニーズと効果に関する研究
Project/Area Number |
19730439
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
酒井 佳永 Juntendo University, 医学部, 助教 (60349008)
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Keywords | 気分障害 / リハビリテーション / うつ病 / 産業精神保健 / 職場復帰 / 臨床心理学 / 精神医学 |
Research Abstract |
2007年5月から2009年2月までに順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院における職場復帰援助プログラムに参加した19人の人口統計学的、職業的特徴、およびプログラムの中断や介入の効果と関連する要因について検討を行った。プログラム参加者の平均年齢は41.6歳(SD8.6)、19人中17人(89.5%)が男性であった。19人のうち、過去に休職経験のあるものが10人(52.6%)、またこれまでの総休務期間の平均が15.4ヶ月(SD10.0)であることから、比較的休務期間が長く、休職を繰り返している症例がプログラムに導入されやすいことが示唆された。19人の参加者のうち11人がプログラムを終了し復職し、5人がプログラムを中断した。プログラム中断の理由は、精神症状の悪化(2人)、身体疾患(1人)、解雇(1人)、別の治療プログラム参加(1人)であった。プログラム中断群(5人)と終了群(11人)を比較したところ、中断群は終了群と比較してより年齢が高く、総休務期間が長い傾向があった。また中断群ではプログラム導入時の評価で課題解決的な対処を行わない傾向が有意に強かった。介入のアウトカムと関連する要因の検討として、プログラム開始から終了までの社会機能(SASSで評価)の改善の大きさを予測する要因を検討した。その結果、総休務期間が長いほどSASSの改善が少ない傾向、TCIの持続性が高いほどSASSの改善が大きい傾向、TCIの自己志向性が高いほどSASSの改善が大きい傾向が認められた。プログラムの効果が対象者のパーソナリティによって異なる可能性、総休務期間の長い対象者の効果が少ない可能性が示唆された。これらの結果を踏まえ、高齢、総休務期間が長い、持続性および自己志向性が低いなど、中断のリスクが高い、または得られる効果が少ない可能性がある参加者については動機づけを高める介入を行うなどの工夫が必要だと考えられた。
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Research Products
(2 results)