2009 Fiscal Year Annual Research Report
休職中のうつ病患者に対する職場復帰援助プログラムのニーズと効果に関する研究
Project/Area Number |
19730439
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
酒井 佳永 Juntendo University, 医学部, 助教 (60349008)
|
Keywords | うつ病 / リハビリテーション / 復職支援 / 認知行動療法 / 社会機能 |
Research Abstract |
【目的と方法】うつ病による休業者は年々増加しており、休職期間が長びく事例や再休職を繰り返す事例は多い。そのため医療機関における復職支援が全国に広がりつつあるが、その転帰や効果についての報告は少ない。しかし各プログラムにおける介入内容とその転帰を報告することはプログラムの標準化や効果を確認するための研究計画を立てる上で必須だと考えられる。本研究では、順天堂越谷病院で2007年より実施している認知行動療法を中心とした復職支援プログラムの参加者32人を対象に、参加者の特徴、プログラム参加前後の変化、復職後の転帰、再休職リスクと関連する要因について検討を行った。プログラム参加者の特徴については、プログラム開始以前に当院に入院したうつ病休職者との比較(Mann-WhitneyのU検定)を行った。プログラム参加前後の変化についてはWilcoxonの符号付順位和検定、復職後の勤務継続期間についてはKaplan-meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて検討した。【結果】プログラム参加者32人のこれまでの休職期間の平均は16.5ヶ月、平均休職回数は2回であり、プログラム開始以前のうつ病入院患者よりも有意に休職期間が長く、休職回数が多かった。プログラム開始後2ヶ月で有意に抑うつと社会機能の改善、課題解決的対処の増加、抑うつスキーマの低下が認められた。プログラムを中断しなかった22人のうち、21人(95.5%)が復職可能であった。復職した21人中、5人(23.8%)が再休職した。再休職のリスクはプログラム参加期間の短さ、プログラム終了時の抑うつの重さ、社会機能の低さ、抑うつスキーマ(達成動機)の高さと関連していた。これらの結果から、1)休職期間の総計が長く、休職を複数回繰り返している患者に復職支援のニーズが高いこと、2)当院の復職支援プログラムには抑うつ、社会機能、対処能力、抑うつスキーマを改善する一定の効果があること、3)再休職リスクは、復職時の抑うつや社会機能の悪さ、自己への要求水準が高すぎることと関連することが示唆された。今後、プログラムの導入と終了について一定の基準を設けること、高すぎる達成動機への介入が課題だと思われる。
|
Research Products
(3 results)