2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730443
|
Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
前川 浩子 Kanazawa Gakuin University, 文学部, 講師 (10434474)
|
Keywords | 摂食障害 / 食行動・態度 / 非共有環境 / きょうだい / 仲間関係 / Sibling Inventory Differential Experience |
Research Abstract |
本研究は摂食障害および不健康な食行動の発達に関して検討することを目的として行われているが、平成21年度は神経性無食欲症(AN)の女性のきょうだいと比較した経験の認知について検討が行われた。 AN女性42名と対照群の女性42名を対象にSibling Inventory Differential Experience(SIDE)(Daniels & Plomin,1985)を用いて、きょうだい関係、親の養育、仲間関係、ライフイベンツに関する73項目の質問に対して、それぞれの経験が自分により当てはまるか、きょうだいにより当てはまるか、の観点から評定を求めた。摂食障害の発症に関しては、遺伝的なリスクと環境的なリスクがあるが、行動遺伝学的観点から環境を「共有環境」(家族を類似させる効果を持つ環境)と「非共有環境」(一人一人に独自に働き、家族を似なくさせる効果を持つ環境)とに分けた場合、われわれの個人差には「非共有環境」からの影響が大きいことが知られている。SIDEは、ある経験をきょうだいと比較させることによって、非共有環境要因を推定できる可能性を持つ質問紙である。本研究では、AN女性のほうが対照群の女性に比べて、「母親は自分よりも相手のきょうだいのほうに好意を示しがちだった」、「自分のほうが父親から責められがちであった」と、親の養育に差があったと認知し、また、仲間関係については、自分よりもきょうだいのほうが「人気がある」、「社交的」、といった活発なグループに属していたと認知する傾向があることが示され、このような要因が摂食障害における非共有環境要因となっている可能性が示唆された。
|