2010 Fiscal Year Annual Research Report
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19730443
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
前川 浩子 金沢学院大学, 文学部, 講師 (10434474)
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Keywords | 摂食障害 / 食行動・態度 / きょうだい関係 / 対人関係 / Eating Disorder Inventory / Temerament and Character Inventory / Sibling Inventory of Differential Exerience |
Research Abstract |
本研究は神経性無食欲症(AN)の女性の対人不信にきょうだいとの関係やパーソナリティがどのように影響を与えているのかについて検討することを目的に行われた。AN女性52名と対照群の女性46名が本研究に参加し、Eating Disorder Inventory(EDI)、Sibling Inventory Differential Experience(SIDE)、Temperament and Character Inventory (TCI)への回答を求められた。 きょうだい関係の様相をとらえるために、SIDEのきょうだい関係の項目について探索的因子分析を行ったところ、3因子が抽出され「きょうだいに対する親和的態度」、「きょうだいに対する攻撃的態度」、「きょうだいに対する尊重的態度」と命名された。さらに「対人不信」と相関が見られたパーソナリティ特性およびきょうだいに対する態度をもとに、AN女性群と対照群の女性とで共分散構造分析によるモデルの検討を行った。対照群の女性については、「対人不信」の高さに影響を与えていたのは、報酬依存と協調の低さであることが示され、対照群の女性では、対人関係と密接に関わっていると考えられるパーソナリティ特徴のみが直接「対人不信」に影響を及ぼしていたというモデルが構築された。 その一方でAN女性群では、暖かな社交的友好関係などによって示される報酬依存の低さが「対人不信」に直接影響を及ぼしていたことは対照群の女性と共通であったが、「きょうだいに対する親和的態度」の高さが「対人不信」の高さに影響を及ぼしており、「きょうだいに対する親和的態度」には、自己志向の低さが影響を及ぼしているというモデルになっていた。AN女性にとって「きょうだいに対する親和的態度」は自信のなさから来る不適応的な振る舞いの表れであり、このような良いきょうだいであろうとする、"おもねる"振る舞いが、対人的な信頼感のなさの背後に存在しているということが示唆された。
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