2010 Fiscal Year Annual Research Report
回想法は高齢者の認知症予防および心理的well-beingの改善に有効か
Project/Area Number |
19730446
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
野村 信威 明治学院大学, 心理学部・心理学科, 講師 (90411719)
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Keywords | 回想法 / 高齢者 / 認知症予防 |
Research Abstract |
本研究の主な研究目的は,1グループ回想法による介入研究の実施,2質問紙調査による縦断研究,3語られた逐語記録をもとにおこなう内容分析という3つの研究アプローチを通して,グループ回想法が高齢者の認知症予防および心理的well-beingの改善に有効であるかを検討することである。 平成22年度は,前年度に作成した5件法6項目からなる個人内回想および対人的回想尺度を用いて,日常場面で個人的に行う過去の想起と,他者に対して回想を語る行為が,それぞれ心理的well-beingとの間にどのような因果関係をもつかについて縦断的な検討を行った。 Finkel(1995)の交差遅れ効果モデルを用いたパス解析の結果,個人内で行われる回想が心理的well-beingに及ぼす影響は明らかではないが,心理的well-beingの良好さは対人的回想を促進させる影響があると考えられた。この結果は日本パーソナリティ心理学会第14回大会において発表された。 また,高齢者大学受講者である在宅高齢者11名を対象としてグループ回想法を実施し,回想法が認知機能および心理的well-beingに及ぼす効果について検討した。セッションは75分×8回を設定した。Wilcoxon符号付順位検定の結果,介入前後で人生満足度および自尊感情度の得点に有意な増加が認められ(いずれもp.<05),グループ回想法が心理的適応を高める効果が認められた。しかしながら本研究は参加者数も少なく,認知機能への効果は検討できなかった。この結果は次年度に日本心理学会第75回大会で発表予定である。
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Research Products
(1 results)