2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型認知症患者の不安反応の抑制のための心理学的介入に関する研究
Project/Area Number |
19730447
|
Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
百々 尚美 Osaka University of Human Sciences, 人間科学部・健康心理学科, 専任講師 (70351707)
|
Keywords | アルツハイマー型認知症患者 / BPSD / 不安反応 / リラクセーション / QOL |
Research Abstract |
我が国ではアルツハイマー型認知症(SDAT)の有病率は増加傾向にある。SDAT患者の臨床症状は,認知機能障害と不安,抑うつといった精神症状,また興奮,徘徊,喚声などの行動異常などの「認知症の行動および精神症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia: BPSD)」に大別される。BPSDはさまざまな病期に発現し,全ての患者が一つないし複数の症状を呈すると示唆されている(Reisberg et al,1989)。認知機能障害の重症度に関わらず,BPSDの発現は患者のADL低下,QOL悪化の大きな要因となっている(Brody,1982)。BPSDの第一選択は非薬物療法とされているが治療効果の検討は不十分なままである。そこで本研究は,BPSDを抑制する心理学的介入プログラムを開発し,その効果を検討することを目的とした。BPSDは多彩な症状の総称であるが,その中から病気の初期段階から発現し最も患者を苦しませ介護の負担ともなる精神症状の一つである不安反応を本研究の標的症状とした。本研究において検討するリラクセーションプログラムは,先行研究において健常者に対し有効であることが認められており(例えば,百々他,2003),認知機能障害を有する患者においても実施可能であることが報告されている(百々・坂野,2007)。本研究は先行研究の結果を踏まえ,SDAD患者を対象とし,通常治療との比較ならびにプログラムのプラセボ効果を検討した。その結果,継続的なプログラムへの参加により不安反応の抑制が認められた。またこの効果はプラセボ効果によるものではなかった。さらに通常治療のみでは身体的QOLは悪化するが定期的に心理学的介入を行うことで維持することが可能であることが認められた。
|