2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型認知症患者の不安反応の抑制のための心理学的介入に関する研究
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19730447
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
百々 尚美 Osaka University of Human Sciences, 人間科学部健康心理学科, 専任講師 (70351707)
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Keywords | アルツハイマー型認知症患者 / BPSD / 不安反応 / リラクセーション / QOL |
Research Abstract |
アルツハイマー型認知症(SDAT)の患者数は我が国では増加傾向にある。SDATの臨床症状は認知機能障害のみならず, 興奮, 俳徊, 喚声や, 不安や抑うつなどの「認知症の行動および精神症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia : BPSD)」に大別される。BPSDには多彩な症状がみられるが, 全ての患者が一つないし複数のBPSDを呈する。患者にとって, 認知機能障害の重篤度よりも, BPSDの有無がQOL低下の要因となっている。BPSDへの第一選択は非薬物療法とされているが, 治療効果の検討は不十分なままである。特にSDATを発症した後, 初期段階より不安反応の発現が報告されている。そこで本研究では, 非薬物療法であるリラクセーションプログラムが, 多彩なBPSDの一つである不安反応に対し有効であるかを検討した。本研究において検討するリラクセーションプログラムは, 先行研究において健常者に対し有効であることが認められており(例えば, 百々他, 2003), 認知機能障害を有する患者においても実施可能であることが報告されている(百々・坂野, 20Q7)。本研究は先行研究の結果を踏まえ, SDAD患者を対象とし, 通常治療との比較ならびにプログラムのプラセボ効果を検討した。その結果, 継続的なリラクセーションプログラムへの参加により不安反応の抑制が認められた。またこの効果はプラセボ効果によるものではなかった。さらに通常治療のみでは身体的QOLは悪化するが定期的に心理学的介入を行うことで維持することが可能であることが認められた(百々・坂里予, 2009)。
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