2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の自立を促進する短期心理支援法の開発および地域援助
Project/Area Number |
19730449
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
佐々木 直美 Hiroshima International University, 心理科学研究科, 准教授 (00341230)
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Keywords | 高齢者 / 短期 / 心理支援 |
Research Abstract |
短期心理支援法実施群は、30名の地域在住高齢者を対象に、1グループ4~6名に分け、3セッション(1回目「過去」、2回目「現在」、3回目「未来」をテーマとする)を、1週間に1回、90分実施した。介入方法としては、各回のテーマに基づき、高齢者(以下メンバー)が自由に語った。ただし、否定的な語りが出てきたときには、リーダー(申請者)が、それを消去せず最後まで語ってもらった(カタルシス)。また、他メンバーが肯定的な体験や意味づけを語り始めるとリーダーは強化するという方法で行った。このやりとりを聞いていた否定的な語りをしていたメンバーが、自然と、自らの体験を振り返り、肯定的な体験を見つけ出したり、肯定的な意味づけができるようになることが本研究の介入のねらいであった。なお、介入効果をみるために、統制群として、12名の地域在住高齢者を用いた。用いた指標は、主観的幸福感を測定するためのPGCモラールスケール、抑うつ気分を測定するためのGDSスケールである。指標を測定した時期は、介入前後、1ヵ月後の3回実施した。実施群・統制群および介入時期を要因とした2要因の分散分析を行った結果、PGCモラールスケールで測定できる「主観的幸福感」、その因子である「老いに対する態度」、「心理的動揺」、「不満足感」、そして、GDSスケールで測定できる「抑うつ感」、その因子である「ポジティブ感情の低下」、「うつ気分」、「エネルギー減退」に有意な主効果は認められなかった。しかし、短期心理支援法実施群のメンバーからは、「過去の話ができたのはよかった」、「このような場がないと、未来の話をすることはなかった。メンバーの話を聞くことで、将来の過ごし方に対して指針が出来た」、「メンバーと話をすることで、日々の生活を生きていく自信がっき、勇気がわいた」などの肯定的な意見が出された。
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