2007 Fiscal Year Annual Research Report
不眠の精神的・身体的健康度への影響と非薬物療法の適応に関する研究
Project/Area Number |
19730454
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
内藤 陽子 (駒田 陽子) Neuropsychiatric Research Institute, (財)神経研究所・研究部, 研究員 (40451380)
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Keywords | 不眠 / 精神的健康 / 身体的健康 / QOL / 抑うつ / 睡眠薬 / 睡眠相後退症候群 / メラトニン |
Research Abstract |
不眠はうつ病の重要な前駆症状であるとともに,慢性化した不眠がうつ病発現のリスクファクターになることが近年指摘されている。しかしながら,抑うつ症状と不眠の関係,ならびに睡眠薬を用いた不眠症治療による抑うつ症状軽減の可能性は明らかにされていない。また,睡眠相後退症候群に対するメラトニン治療法による睡眠相前進効果や,その反応性に関連する要因についても明らかにされていない。本研究では,地域住民に対する横断調査研究ならびに睡眠外来受診患者を対象としたレトロスペクティブ研究を行った。その結果,抑うつ症状は不眠症と強い因果関係を有し,不眠症と抑うつ症状の重症度の間に関連性があることが明らかであった。睡眠薬を使用する契機として,加齢や入眠困難等の要因に加えて抑うつ症状が関与していることが示唆された。また,睡眠薬使用による不眠の改善が抑うつ症状を完全に解消することは難しいものの,症状緩和に貢献していた。この所見は,不眠の早期発見と適切な薬物治療の重要性を裏付けるものと考えられた。睡眠相後退症候群に対しては,メラトニン投与によって,7割の者で睡眠相前進の効果が認められた。ただしメラトニン治療により睡眠相前進が見られた者の中でも,服用コンプライアンスの不良,睡眠衛生の悪化等により,その後に再増悪するケースが少なからず存在した。メラトニンは,生体リズムの調整に効果的であり,睡眠相後退症候群の治療に有用であると考えられるが,平行して睡眠衛生指導の強化と治療に対する動機づけを保つことが必要であると考えられた。
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